連載企画:良いデザインの10カ条について考える Vol.02「良いデザインとは、実用をもたらす。」
2015/02/26
「良いデザイン」とは何か?
1970年にディーター・ラムス氏が提唱した「良いデザインの10カ条」について、それぞれ考えていこうという連載企画。
「良いデザインの10カ条」について、ご存知でない方は以前ご紹介したこちらの記事をご覧ください。
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Contents
第二回目は、こちら。
良いデザインとは、実用をもたらす。
座れなければ、イスじゃなくて彫刻
例えば、いくらフォルムが美しいイスであっても、肝心の座り心地が悪ければそれは良いデザインとは言えませんよね。
座れないイスは、ツールではなくただの彫刻作品なのです。
iPhone6も・・・。
前の記事で、Appleのデザインが優れていると言ったばかりで、こんな事を言うのは矛盾しているかもしれませんが、残念ながらiPhone6を見ていると、「実用性」を犠牲にした点がいくつも目に留まります。
例えば、電源ボタンの位置。iPhone6からは、画面のサイズが大きくなった為、指が上まで届かないだろうということで、右側に移動しているのですが、これがまた使いにくいのです。電源ボタンを押そうと思うと、左側にあるボリュームスイッチに触れてしまい、何度もボリュームを修正しなければなりません。
当初は「使っていれば慣れるかな」とも思ったのですが、購入して二ヶ月経っても慣れず。画面を大きくするということが優先されて、実用性が犠牲になっているのは悲しいことです。
シールで補わないと分からないデザイン
コンビ二コーヒーの先駆け、「セブンコーヒー」のマシンも、「実用」が欠けていた一例です。
(source:http://blogs.yahoo.co.jp/gracielavita1906/10236821.html)
既にご存知の方もいるかと思いますが、マシンのボタンの上から「ふつうサイズ」「おおきいサイズ」などとシールを貼らないと購入者が識別できないというデザイン。
表記をシンプルにする、削ぎ落としたデザインにする、という取り組みが仇となり、結果的に切り貼りしたようなデザインになってしまっています。
「美しさ」と「実用」が溶け込んだデザインの一例
では、「実用をもたらしている」デザインはどのようなものか、ということでご紹介するのが、こちらのケトル。
柳宗理さんのケトルはフォルムが美しいだけでなく、非常に実用的です。
持ち手部分の独特のフォルム、これは使ってみていただかないとわからないと思いますが、ケトルを傾けて、湯を注ぐとき指にかかる負担を少なくするためにできた形状になっています。気をつければ、指二本だけでお湯が注げるくらい。
石膏を納得するまで手で削ってデザインしたという柳宗理さんのプロダクトには、美しさと実用性、そして温もりも感じます。
さりげない実用性
以前ご紹介した無印良品のこちらのハードキャリーも「実用性」を感じる製品。(詳細はこちら)

(source:http://www.muji.net/store/cmdty/detail/4549337260863)
そして、以前は触れていなかったのですが、ボディの凹凸は耐久性を上げるだけでなく、実はスーツケースベルトの幅にぴったり合っていて、ずれ落ちることがないという・・・
これを発見したときは正直驚きました。
いかがでしたでしょうか。
いくら美しくても、かっこよくても、他になくても、使えなければ意味がありません。
私自身、デザインをしている立場なので、毎回こうやって言うと少し苦しくなってくるのですが笑
まあ、頑張りましょう・・・笑
ほな、さいなら!